2009/8/3

乳がん

愛知病院では乳腺科、放射線科、整形外科、緩和医療チーム、形成外科医などが協力して乳がんに対するチーム医療を行っています。

1.乳がんの診断

検診異常あるいはかかりつけ医療機関からの御紹介患者さんに対しては、まず、マンモグラフィ、精密超音波検査を行っています。乳がんの確定診断は穿刺吸引細胞診、超音波あるいはステレオガイド下のマンモトーム生検によって行っています。乳がんと診断され、手術などの治療が必要と決まった患者さんには、放射線診断医がMRI、CT、骨シンチなどの精密検査を行い、病期と治療方針を決定します。手術をすることが決まった患者さんに関しては、乳腺科、放射線科、必要な場合には御紹介元のかかりつけ医師にも参加していただいて症例検討会を行い、乳がんの大きさ、広がり、腋窩(腋の下)リンパ節転移の有無について詳細に検討し、患者さんに最適な手術方法を決定しています。

2.乳がんの手術

適応のある患者さんには、乳房温存手術を標準手術として行っています。また、腋窩リンパ節転移が陰性と考えられる患者さんに関しては、アイソトープを用いたリンパ節シンチを行い、センチネルリンパ節生検による腋窩リンパ節郭清の省略による縮小手術をしています。また、早期乳がんに対しては、整容性(術後の乳房の形、手術創の大きさなど)を重視した乳房皮膚を残した乳房温存手術を、必要に応じて内視鏡を補助的に使用して行っています。
乳房温存療法をご希望の比較的大きな乳がんの患者さん、特に、腋窩リンパ節転移が陽性と判断される患者さんに対しては、抗がん剤治療を手術の前に行う術前補助化学療法を積極的にお勧めしています。術前補助化学療法により、約70~90%の患者さんで乳がんの腫瘤が縮小し、より整容性の高い乳房温存療法が可能となります。
乳房温存手術の適応の無い患者さん、特に乳がん根治手術後に胸壁と鎖骨上リンパ節に対する補助放射線療法を必要とする患者さん、つまり“乳がんの根治手術、術後補助療法を完了した後には乳房再建手術が極めて困難になる”患者さんに対しては、形成外科医との連携により乳がんの根治手術と同時にティッシュ・エキスパンダーを挿入してしまうことによるインプラントによる乳房再建手術に取り組んでいます。

3.乳がんの薬物療法

乳腺内科ではエビデンスに基づく“乳がんの標準治療としての術前・術後補助療法”と患者さんのQOLに配慮した乳がん再発の治療の実践、治療困難な症例に対するセカンドオピニオンによる対応、それに加え、がんセンターの使命の一つである“臨床研究への参加による新しい標準治療の確立”を目指しています。現在、当院では再発乳がんに対するベバシズマブ、スニチニブなどを用いた臨床試験が進行中です。

4.乳がんの骨再発に対するチーム医療

愛知病院には乳腺科、乳がん骨転移を含めた骨腫瘍を専門とする整形外科チーム、放射線治療医、緩和ケアチームがあり、治療が困難な乳がん骨転移の患者さんに対する「集学的治療」を行っています。治療の選択が難しい乳がん骨転移の患者さんには乳腺科・整形外科専門医が勤務する4階病棟に入院していただき、アイソトープ検査、MRI検査などを受けていただき、それぞれの患者さんに最適な薬物療法、放射線療法、手術、リハビリテーション、緩和ケアーを選択して治療を受けていただくことができます。
通常のリニアックによる高エネルギーX線治療のほか、ストロンチウム89注射薬による疼痛緩和も実施しています。

ホームへ先頭へ前へ戻る