2009/10/9

店のファンをつくろう(1)

 
 不況の影響で、家庭の外食費は削られる傾向にあり、妻や自分の手製弁当を持参するサラリーマンが増え「お弁当男子」という言葉も生まれています。その反面、外食の頻度は減ったとしても、家庭では味わえないプロの料理人の作る料理やデザートこそ外食で味わいたい、と思う人が増えているのも事実です。「不況だから・・・」「天気が悪いから・・・」と外的要因について嘆かずに、手が空いた時間に集客について考えてみませんか?

ひらまつ「定例ワインの集い」に見る新規客獲得のポイント

 先日、広尾にある「キャーヴ・ド・ポール・ボキューズ」で開催された定例ワインの集いに参加しました。これは(株)ひらまつの経営する一部の店舗で開催しているイベントで、同店では、毎奇数月に行われています。参加費は、4種のワインと、料理3品、デザート1品で合計6000円(飲食、税、サ込)という価格です。当初予定していた日数以上に予約が入り、キャンセル待ちが続出したため日にちを増やし、5日間で約350人が訪れたそうです。
 
 ワインの集い、といってもワイン愛好家のための会というよりは、これからワインを知りたい、という人をターゲットにしているようです。席に着くと、ひらまつ代表の平松宏之氏とレストランひらまつのシェフソムリエ、錦織宏尚氏がフランスで選んだワインがグラスに注がれます。しかも、店ではまだ出していないワインが味わえるとあって、ワイン愛好家にも訴求できます。店内には、初めて店に訪れたという雰囲気のお客さまが多く、約70人のうち大半が女性客でした。
 
 各店のシェフソムリエが集結し、テーブルを回りながらお客さまと気軽なトークをしながら、自分の店のPRもします。名刺を渡しながら自分のニックネームを名乗り「ご予約の際、○○と言っていただければ、サービスさせていただきます」と言う人もいました。ワインの造り手や個性について楽しそうに話す錦織氏の言葉から「フランス料理に欠かせないワインをもっと多くの方に知っていただきたい」という思いがひしひしと伝わってきました。
 
 店の魅力を体感していただくために、お客さまが高いと思っている敷居を一度下げてみる。そんな集客のヒントを得ました。
 ちなみに今月は、10月28日(水)西麻布の「キャーヴ・ド・ひらまつ」にて1万2000円(飲食、税、サ込)の集いがあるそうです。

「また店に行ってみよう」と思わせる「銀座 美しょう」のDM


 一度店に来たお客さまにリピートしていただけるかどうかは、来店後のアプローチも大事です。お客さまの頭の中に「候補店」として記憶に残るためには、手元に置いて見られるDMは効力を発揮します。
 銀座のフレンチ&鉄板焼き「銀座 美しょう」では、毎月約400名のお客さまにDMハガキを送っています。季節の食材を使った特別コースや、○周年記念のフェアーのお知らせなど具体的な内容を書面で伝えることで、今ではお客さまの方から「今月はどんなイベントをするの?」と質問されるようになったそうです。店長の飯盛博子さんは「DMを送るようになってから予約数が多くなりました」と話しています。 毎月DMを送ることで、今まで2カ月に1回の来店だったお客さまが毎月来店するきっかけにもなっているそうです。
 他にも、常連客限定のフェアーを開催したり、秘密の暗号を言ったらワンドリンクサービスとか、予約をしたら、真っ白なテーブルクロスに赤いバラの花びらを散らしていたといった遊び心のある接客もお客さまの心を和ませます。
 
 「おいしかった」に「楽しかった」が加わることで、お客さまに「外食は楽しい」と良い印象を持っていただけたら、外食需要はぐんぐんと伸びて行くのではないかと思います。どうぞお店で話し合って、オリジナリティのある楽しい集客方法を考えてみてください。(柏田 綾)

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