2012/9/10

ケベックが世界に誇る女性シェフ
「食の親善大使」

マリーシャンタル・ルパージュ シャトー・ボンヌ・アンタント総料理長

マリーシャンタル・ルパージュは、2005年から、ケベックの有名ホテル「シャトー・ボンヌ・アンタント」の総料理長を務める情熱家、努力家の女性シェフである。すでに、2000年には並みいる大物シェフを尻目にケベック・シェフ・パティシエ協会による女性初の「シェフオブザイヤー」に輝いた実力の持ち主である。また、2003年にはケベック州ジャルダン連合会が、目覚ましい活躍をした女性に贈る「サクセスウーマン賞」。2004年ジュルナル・エコノミック紙の「女性キャリア賞」、そして2010年には北米大陸では2人目の快挙となる「アカデミー・キュリネール・ド・フランス」女性メンバーに選ばれた。現在、彼女は多忙な仕事の傍ら、ケベックの料理の顔として、「食の親善大使」を務め、世界各地でケベック食材のおいしさを啓蒙しアピールしている。

日本ではまだ日本人女性が大きなホテルの総料理長という例はありませんが。

ケベックでも同じですよ。ケベックには女性シェフが20名前後はいますが、ほとんどはパティシエで、ホテルの総料理長というのはまだ私だけなんですよ。

キャリアについてお聞かせ下さい。

16才の時に料理の道に進むことにしたんです。そんなに料理に興味があるわけではなかったんですけど、仕事としてそれを選んだわけですね。その時のフランス人シェフに「女は料理人に向かない」と言われて、急にやる気がでてきたんです。(笑)でも、私は料理学校にも行ったことがないし、知識もなかったので、自分でも相当がんばったなと思います。その後、セルジュ・ブルイエールという有名シェフのチームに入ることになったんですけど、最初は、あまり自分の意にそぐわない部門の仕事だったのでお断りしたんです。そしたら逆に彼から熱心に説得されて。こんな私のことを認めてくれたんだと思って感動しました。それからは、素材、味、作り方、料理哲学、すべてを彼から学びました。4年間そこにいて、その後は、ケベックのおもだったホテルやレストランのシェフを務め、1987年から92年までは今いるシャトー・ボンヌ・アンタントのスーシェフとして働き、1994年からはマノワール・モンモランシーで初めて総料理長という職につきました。最初は、女性シェフということで、めずらしがられたり、荷が重すぎやしないかとか心配されました。何しろ、600名の宴会、300席のレストラン、1日2000人のお客様を仕切らなきゃならなかったから。でも、このニュースに刺激されて、それ以降ケベックでは料理を志す女性が増えてきたんですよ。

女性料理長として男性料理人を束ねて使うのは難しくないですか?

あはは、やっぱり難しいところはたくさんありますよ。でも、料理人の世界ではキャリアがそれなりにものを言うから、私の場合はその点楽だったですね。それにいつも実力を見せておくことも大切だと思います。実力がわかれば、男性の部下は私に敬意を払ってついてきてくれるし、そうなったら逆に男性はとても頼もしい存在になります。


シャトー・ボンヌ・アンタントは、敷地内に、165の客室、スイートルーム45室、22の宴会場、ゴルフコースやスパ等を有するスーパーゴージャスなホテルである。CITQ(カナダ観光協会最高の5つ星、CAA/AAA(カナダ、アメリカホテルレストラン格付誌による4ダイヤモンド)など、カナダ・ケベックを代表するホテルである。
http://www.chateaubonneentente.com/


ケベックの食の大使として活躍されていますが。

1980年からは、ケベックのブッシャール首相(当時)の特命を受けて、ケベックの食材を使った料理を世界中に知っていただこうと、活動し始めたんです。今まで南米、北米、ヨーロッパ、アジアいろいろな所に行きましたよ。女性が活動するのは厳しいと言われた中近東にもでかけて行ったし、東京にも行ったことがあるんですよ。その時は、ホテルオークラ総料理長のムッシュー・ネギシ(当時)に随分お世話になりました。来年は、FOODEXのために、また東京に来ることになっています。

その時には、ぜひTCAメンバーと交流できればと思います。よろしくお願いします。

それはすばらしい考えだわ。TCAの皆さんにもぜひケベックに来ていただきたいです。


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