2013/04/10

アメリカ発、シェフの流儀!!

プロシェフ・ユニバーサル 代表 飯島幸親(いいじま ゆきちか)

プロシェフ・ユニバーサル 代表 飯島幸親
プロシェフ・ユニバーサル 代表 飯島幸親

1942年生まれ。成城大学経済学部卒業後、帝国ホテル、ベルビューパレスホテル(スイス)、ペニンシュラホテル(香港)などを経て、シアトル、サンディエゴ・マリオットで総料理長を歴任。マリオット・インターナショナル・インコーポレーテッド日本・韓国担当リージョナル・マーケット・オペレーション部長、日本各地、そしてアジアを始め世界各地のマリオットのオペレーション・ディレクターなどを歴任。近藤寛和の著書『和魂米才のホテルマネジメント』の主人公。

シアトルとサンディエゴのマリオットの総料理長を経てホテルマネジメントに携わった飯島幸親氏。現在サンディエゴに住み、日本とアメリカを行き来して講演などを行う氏にグローバルな視点でこれからのシェフ、そしてホテリエについて語って頂いた。

アメリカでグローバリゼーションの洗礼を受ける

マリオットには30年間いて、そのうちの20年間はシェフ、最後の10年間はアジア進出する際、唯一の日本人スタッフとしてホテル経営、ホテルを設立する手伝いをしました。ホテル設立、オーナーリレーション、折衝、マリオットノウハウのインストール、スタッフの配置や総支配人の仕事など、1つのホテルにつき約6カ月の準備期間で世界中の66ホテルのオープニングを手掛けました。

—向こうではアメリカ人が部下だったのですか?

アメリカ人だけではありませんが、サンディエゴでは450人くらいの部下がいました。アメリカは世界中の人種のるつぼ。そういうごった煮の中で仕事やプライベートを通じて前を進んで行こうというある程度のフォーマットがアメリカにはあります。世界中にグローバリゼーションの流れが来ています。この流れは誰にも止められないでしょう。

—サンディエゴのマリオットでシェフのお仕事は最後になったのですか?

はい、シェフはね。今度は東京・新橋のマリオットのオフィスがあるから、そこを拠点にルネッサンスホテルとか名古屋のマリオットの新規オープン、ラマダ系ホテル、香港やシンガポール、マレーシア、韓国、ハワイ、インドネシア、フィリピンなどを手掛けました。

シェフは料理だけでなくトータルなマネジメントも大切。

アメリカで学んだのは、シェフの仕事は料理を作るだけではない、ということです。もちろん料理が一番大事ですが、その他のトータルなマネジメントも大切です。料理を出す、プラス、スタッフのトレーニング、安全、衛生、セールスマーケティング、宣伝、そして当然コスト。全部絡めて大切です。

—そして利益を出さなくてはいけない。

はい。これからは交渉術が大事です。日本人は料理はプロですが交渉術が苦手です。どうやってトップと折衝するか、どれだけ自分の部門を説明できて相手に明確に伝えるか、そういう能力もシェフとして大事です。僕はこういう場に揉まれました。なので、こういう事にはとても自信があります。料理人自身はホテルの経営と同じです。日本の社長は権限があるだけで能力がありません。シェフの方がよほど能力がありますよ。

これから、グローバルな世界で成功するために必要なこと

僕は今でも英語は下手です。でも、ビジネスで折衝する時は絶対負けません。ものすごく場数を踏んでいますから。それができなかったらアメリカでは成功できません。1日では無理です。5年から10年かかります。日本でもそういうことを皆が経験しないといけません。

また、いかに部下や同僚とやる気を出してやるか、モチベーションを高めるためのトレーニングがたくさんあるので、それも習いました。給料をもらおうと思ったらそれ以上のことをやらなければいけません。年功序列とか昇給が必ず毎年ある、ということは絶対にあり得ません。日本もこの2、3年でそういう流れになってきているけれど、当たり前のことなんです。最終的には自分が自分を守る、これしかありません。まず、自分がどうやって厳しい今の世の中を生きて行くか、そういうことを考えなくてはいけません。自分が人間として生まれて来た以上、蹴飛ばされようと踏みにじまれようと生きて行く、そういう強さが必要です。

まさに和魂洋才の飯島氏のお話は、これからのグローバルな世界で生き抜くためのヒントが満載でした。貴重なお話をありがとうございました。


グローバルスタンダードの成功法則 
和魂米才のホテルマネジメント

米国マリオットホテルで世界最先端のホテルマネジメントに30年間携わった飯島幸親氏。氏が自らの人生を賭けて成し遂げた横浜ベイシェラトンホテル&タワーズの再生を綴ったノンフィクション。日本の良いところを生かしつつ、グローバル ホテル マネジメントを導入し、変革に見事成功した過程がドキュメンタリータッチで描かれている。


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