2017/7/10

丸ノ内ホテル

丸ノ内ホテル
丸ノ内ホテル

東京駅丸の内北口目の前、商業施設・丸の内オアゾの上に立つホテルは、高層ビル群に囲まれながら、驚くほど落ち着ける空間だ。“都会のオアシス”というコンセプトの通り、緑に満ちた心地良いテラスが広がる。メインダイニング「フレンチレストラン ポム・ダダン」を率いる山口仁八郎総料理長がこだわるのは、野菜を中心としたメニュー。朝食にも、コース料理にも、ルームサービスにも、新鮮な野菜がふんだんに取り入れられる。特に瀬戸内の食材に魅せられ、現地との信頼関係も築いてきた。その意味と、展望、料理への思いを聞く。

総料理長 山口 仁八郎
総料理長 山口 仁八郎

総料理長 山口 仁八郎
中学卒業後、15歳で料理人の世界に飛び込む。都内と横浜のフレンチレストランで腕を磨いたのち、1997年に株式会社丸ノ内ホテル入社。1999年より丸ノ内ホテルアネックス東京ジョンブル料理長を務め、2004年に丸ノ内ホテル総料理長に就任。2010年、瀬戸内国際芸術祭と合わせてオープンした香川県豊島にある食堂島キッチンの監修を務める。2012年、かがわ21世紀大賞、2016年、東京都優良調理師知事賞受賞。

積み上げてきた、瀬戸内との関係

旧丸ノ内ホテル時代から約20年、丸ノ内ホテルとともに歩んできた山口仁八郎総料理長。そのキャリアの中で培ってきたのは、産地との強いつながりである。13年以上に渡って、瀬戸内の食材を使い続けてきた。東京では他に先駆けて取り入れたと言ってもいい。「その頃は、まだほとんど関東には出回っていなかったと思います。農家の方たちとの付き合いが長くなったことで、私好みの野菜を作ってもらうこともできるようになりました。」瀬戸内食材の魅力には「自然に惹きつけられた。」のだと語る。「魚や肉も素晴らしいのですが、一番は野菜でした。」ムースやスープに、煮込み料理にと、さまざまに調理するが、「生が好きなので、シンプルなサラダ風仕上げが多いですね。」

またオリンピックに向けて、食材の確保に危機感を持つ。だからこそ、瀬戸内との関係は心強い。「震災の時、築地には十分な食材がそろわなかった。オリピックでも同じような食材不足にはまらないように、瀬戸内から直送という仕組みを整えられたことは強みだと思います。」

料理を食べて満足し、感動して帰って欲しいという山口総料理長の思いは世界のお客様へわが家のおもてなしを! というテーマに沿って、食の場にも貫かれている。「レストランをどうしていくかは、オリンピックに向けてだけではなく常に考えていくべき。調理場の改装、料理内容を吟味し必要であれば大幅な変更、テラスの有効利用など、より良くするための検討を続けていきたい。」スタッフの育成に関しては、「分かりやすく、誠実に接すること。」を心がける。「自分の子供を育てるような気持ちでいます。」とあたたかなまなざしで語る。

食材は、料理人に与えてもらえるもの

料理のアイデアは、机の上や何かを見てというよりも、調理をしているとき、畑で農家の方と話しているとき、海で漁師さんと話しているときに生まれてきます。」と続ける。

ポム・ダダン ホール
ポム・ダダン ホール
ポム・ダダン 階段
ポム・ダダン 階段

また、産地との絆を大切にしてきたからこそ、若い世代へこんなメッセージを送る。「料理人に与えてもらえる食材の大切さを忘れないで欲しい。農家の方が大切に育てた野菜、漁師さんが大変な思いで獲得した魚。実際に見ることで、そのありがたさも分かるし、素材についても知ることができます。特に最近は、魚も切り身で調理場に来る時代ですから。」食育についても熱い思いを持つ。「食の大切さを、今の子供たちにしっかりと伝えていきたい。いただきます、ごちそうさま、と言うことの大切さも、料理を通じて教えていきたいと思います。」

ポム・ダダン ホール
ポム・ダダン ホール

最後に「協会の初代会長・斉藤文次郎ムッシュは、丸ノ内ホテルの総料理長でもありました。その名に恥じないよう努めていきたいと思います。そして、次の料理長をしっかりと育てていきたい。」と締めくくった。

ポム・ダダン 個室
ポム・ダダン 個室
ポム・ダダン テラス
ポム・ダダン テラス

[丸ノ内ホテル]
東京都千代田区丸の内1-6-3
TEL:03-3217-1111(代表)
TEL:03-3217-1117(ポム・ダダン直通)
URL:https://www.marunouchi-hotel.co.jp


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