2013/11/20

日本初「瀬戸内料理」(1)

瀬戸内食材発見の旅 広島のカキ

「EUが一つになって、これからはフランスやイタリアやスペイン料理ではなく、北アフリカ等も巻き込んだひとつの「地中海料理」というブランドを作ってくるのだと思う。瀬戸内というのは、非常にそれに近いイメージを持っているので、いろいろ難しい事もあるかもしれないが、僕は絶対にいいと思う。」

シェフズラボに参加して 鎌田昭男シェフ (東京ドームホテル総料理長)の言葉。

一番安全でおいしいのが、広島の「春のカキ」

瀬戸内海のカキ養殖場
瀬戸内海のカキ養殖場

日本最大のシェアを誇る広島のカキの歴史は、延宝年間、日本初のカキ養殖にまでさかのぼる。「広島市内だけでも7本の川が流れ込んでおり、山の栄養分を河口へ送り込むので、質の高いカキの漁場となっているんですね。」広島県草津かき組合の綱岡賢組合長は語る。
カキは、筏から水揚げされたものの中からカキ殻の大きく形のよいものをセレクトして籠に入れ、大潮、小潮を何度か繰り返し育っていく。春になると、カキは卵巣で発達してきて太ってくる。一般的に、カキは冬の食べ物と誤解されているが、実はこの「春ガキ」こそが最も安全で、かつ最高の味なのだそうだ。やがて、産卵後は「水ガキ」と呼ばれて、やせてしまう。

「広島乾燥カキ」は、世界最高級ブランド

中国料理には乾燥カキが欠かせないが、世界最高級ブランドとされ、ほぼ独占に近いシェアをもっているのが広島カキである。乾燥させても実が固く、小さくなり過ぎない広島乾燥カキは、食べてみると香ばしく大変美味である。乾燥カキは、高値が付くのと、日本人にはあまり馴染みのない食材のため、ほとんど国内では消費されず香港の市場へ流れている。その香港から、広島乾燥カキを、日本の中国料理店が逆輸入で購入しているような状態だ。

瀬戸内海の孤島で始まったある新しいチャレンジ

瀬戸内海の孤島、大崎上島で、塩田跡地を利用して、新たなカキ養殖に挑む「ファームスズキ」の鈴木隆さんは、フランス料理でも最高級とされる「パシフィック」という種類のカキの生産に取り組んでいる。「ふっくらとした身」と「強い甘み」が特徴だ。「いつでも生で安心して食べていただける広島カキ」に向かって、鈴木さんの計画は着々と進んでいるようだ。現在では、広島空港から世界各国への空輸販売も始まった。

「活〆」の味を再現する最新冷凍技術

料理の世界に劇的な変化をもたらしている冷凍技術により、冷凍カキへの安全性と美味しさに対する信頼性は一気に加速している。冷凍食品大手の「タカノブグループ」は、創業80余年の広島の老舗カキ業者「不動水産」を吸収合併、HACCPに準じた厳格な安全基準のもと本格的な冷凍カキ商品を発表している。


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