2019/3/20

オージービーフセミナー&試食会

大麦牛「アンガス種」の旨さと賞味期限100日の安全性に迫る!

2018年10月23日「カッティング&テイスティングセミナー」が東京ベイクルーズ・シンフォニーモデルナ号にて参加者140名で行なわれた。

オージービーフが実現する品質

オーストラリアの人口は約2,300万人。翻って、広大な自然の中で育てられている牛は2,900万頭にも及ぶ。そのうち75%を輸出するため、それに耐えうるよう衛生管理・品質管理が完璧なまでに行われていることで知られる。日本は最大の輸出国で、愛用者も新鮮というイメージを持つ人が多いようだ。

特筆すべきは、オーストラリア産チルド牛肉の賞味期限が77日と、国産牛肉の61日、アメリカ産の62日と比較して2週間以上長いという点。日持ちがするということは、生体搬入から屠畜・解体、プライマルカット、流通という行程で「バクテリアコントール」が十分になされている証だと言える。
まずは、とにかく徹底的に洗浄する。工場への生体搬入時、屠畜前にも十分に洗われる。これによって、生体が工場内に持ち込むバクテリアのリスクを低減している。それから、徹底的な低温管理。牛枝肉の冷やし込み、作業場内の温度管理、製品の迅速な冷やし込みといった積み重ねが、77日の賞味期限を叶えている。

ただし、賞味期限は一定の保存温度条件下によるもの。気をつけたいのは部位の取り扱いで、ボックスから取り出す際にフィルムを伸ばして空気が入る条件を与えたり、開封後に無包装で冷蔵庫内に放置するなどの行為は、品質劣化を招いてしまう。イメージだけでなくリアルに新鮮な状態でやってくるオージービーフだが、取り扱いによって無駄にしないよう注意しよう。

食肉の腐敗の原因となるバクテリアの主な特徴

(1)好気性菌である
酸素がある環境を好むため、チルドビーフは真空包装にしてフォルム内の酸素を抜き、冷蔵流通させている。
(2)低温菌である
好冷菌とも呼ばれ、5度以下の環境下でも生息可能。肉の氷点はマイナス1.7度であるので、ドリップの移行が少なく氷結晶も生成させないために、チルドの状態で保管するには凍る少し上の0度くらいが望ましい。
(3)増殖のために水分、栄養源を必要とする
食肉中には65%程度の水分が含まれており、食肉そのものがバクテリア増殖のための環境であると言える。このため、バクテリアを極力食肉に付着させないことが必要である。工場内の洗浄や消毒はもちろん、まな板、作業場の機械・器具類の洗浄後の乾燥や床面の水切りといった湿度コントロールも重要となる。

清水孝之助氏による肉処理・カッティング実技のポイント

清水孝之助氏
清水孝之助氏

ナイフワークの重要性
ナイフを肉に当て過ぎると、紫に変色するなど後で確実に影響が出てしまう。ナイフは軽く浮かせるように使うことが大切。また無意識に左手で肉を触りすぎていることが多いので、意識して。

脂と赤身のこと
脂はエサ(大麦)を良く吸収し、甘み、旨みに満ちている。空気に触れていない脂はぜひ使いたい。空気に触れている部分を剥がすように取り除けば、パサパサ感が出ず美味しく食べてもらえる。

小濱雅説総料理長とギャレーからの部位別提案メニュー

1、自家製牛肉のパテと茸「銀座の石だたみ」オードブルバリエ
   ロングフェッド クロッド(ウデ)
2、シンタマのマリネ ノイリー酒グリンペッパー風味
   ロングフェッド シックフランク(シンタマ)
3、肩バラのコンビーフとフォアグラブリオッシュ
   ロングフェッド ブリスケ(肩バラ)
4、牛しゃぶと江戸川小松菜のお浸しゼリー寄せ
   ロングフェッド シックフランク(シンタマ)
5、牛タンのブレゼ、蕪のブランマンジェ
   ロングフェッド(牛タン)
6、ビーフカツサンド
   ロングフェッド チャック・フラップ(肩)
7、肉巻おにぎり江戸甘味噌風味
   ロングフェッド アウトサイドスカート(ハラミ)
8、茸と栗のぶどう葉包み
   ミドルグレイン チャックアイロール(肩ロース)
9、海老芋のビーフコロッケ 堀川牛蒡ソース
   ミドルグレイン チャックアイロール(肩ロース)
10、シンタマのたたき すだちポン酢
   ロングフェッド ランプ(イチボ)
11、四川風麻婆豆腐
   ロングフェッド フラップミート(カイノミ)
12、にぎり寿司 牛炙り 辛味噌
   ロングフェッド フランクステーキ(ササミ)
13、江戸甘味噌ワイン煮込み
   ロングフェッド チャックテンダー(トウガラシ)
14、自家製牛バラベーコンのカスレ
   ミドルグレイン ナーベル(バラ)
15、タイ風ラーメン
   ミドルグレイン ブリスケ(肩バラ)
16、ハンギングステーキ 山椒ソース
   ロングフェッド ハンギングテンダー(サガリ)
17、ロンググレイン ビーフステーキ カフェドパリ風
   ロングフェッド キューブロール(ロース)
18、グラスフェッド ビーフステーキ 江戸甘味噌ねぎソース
   グラスフェッド キューブロール(ロース)
19、20日間 氷温熟成ビーフのブラック&ブルー
   ロングフェッド ストリップロイン(サーロイン)
20、20日間 ドライエイジングビーフのステーキ
   ロングフェッド ストリップロイン(サーロイン)
21、シルバーサイドの塩パン包み
   ロングフェッド シルバーサイド(アウトサイド)
22、自家製ビーフジャーキー
   ロングフェッド ランプ(イチボ)

メニューには「大麦牛アンガス」を使用

一般的なオージービーフの77日の賞味期限にも驚くが、中でも「大麦牛アンガス」は100日とさらに3週間ほど長い。カットを行なっている工場では、1日にまな板3回交換、前掛け6回交換、清掃には8時間をかけるなど、賞味期限の長さを裏打ちする管理がなされている。

MLA
MLA

【お問い合わせ】
MLA豪州食肉家畜生産者事業団
東京都千代田区有楽町1-7-1
有楽町電気ビルヂング南館10F
TEL:03-4589-0075 FAX:03-4589-0086


ホームへ先頭へ前へ戻る