2019/4/19

遺伝子組み換え食品は安全ですか?

SATOKOのオーガニックな「食」のつぶやき Vol.007

遺伝子組み換え大豆への農薬空中散布(アルゼンチン)
遺伝子組み換え大豆への農薬空中散布(アルゼンチン)

昨年から遺伝子組み換え食品のことが大きく取り上げられています。米国を変えた母親、ゼン・ハニーカットさんは全米で遺伝子組み換え食品から子どもを守る運動を展開する「マムズ・アクロス・アメリカ(MAA)」の創立者です。食べ物の安全性の問題に目覚めたゼンさんの運動は全米に大きな影響を与えました。そのきっかけは長男のアレルギー、そして次男の自閉症を発症したことだそう。米国では子どもの6人に1人が学習障害、12人に1人が食物アレルギー、68人に1人が自閉症だといいます。2012年当時は加工食品の85%に遺伝子組み換え原料が使われ、遺伝子組み換え作物に使用される農薬も同時に摂取しているような状態でした。

遺伝子組み換え作物の80%は、除草剤耐性のものが占めます。グリホサートを主成分とする除草剤です。グリホサートは腸内細菌を破壊し、病原菌の増殖を促進したり、DNA突然変異を引き起こしたりすると言われています。世界保健機関(WHO)でもグリホサートは発がん性物質であると警鐘を鳴らしています。遺伝子組み換え食品は遺伝子組み換えであることに加えて、農楽の問題も含むということです。ラウンドアップという農薬もまた問題になっています。米国ではある男性がラウンドアップが原因で癌になったとして裁判を提起して勝訴、販売元のモンサント社に320億円もの賠償金が言い渡されました。これは全米で大きな話題となりましたが、EU各国でも大ニュースとなり、モンサントを買収したバイエルの株価は4割も落ちました。そして独、仏、伊など33カ国がグリホサート、ラウンドアップの使用禁止を表明したのです。ロシアは遺伝子組み換え食品の輸入も禁止。ところが日本はグリホサートの規制をこっそりと緩和しました。そして日本では、遺伝子組み換え食品は安全であるとされ、一部栽培や流通が認められています。グリホサート研究者も安全であると言っているそうですが、その害を研究している学者を紹介して欲しいと頼んでも、日本にはそのような学者はいません、と。これが日本の現状……世界の流れに逆行しているとしか言いようがありません。

日本でもアレルギーや自閉症の子どもの数は年々増えています。これが食品のせいだと気づいている親は少ないでしょう。それほどまでに日本では情報が操作され、正確なものはなかなか表には出てきません。昨年消費者庁では食品表示制度の見直しをし、遺伝子組み換え表示制度に関する検討会が行われたそうです。現行制度では5%までの混入に「遺伝子組み換えでない」と表示できますが、実際には混入しているのに入っていないと書かれるのは疑問を覚えます。因みに私はコーンスターチの入っているビールは飲まないようにしています。コーンスターチはトウモロコシのでんぷんですが、これは遺伝子組み換えであることが多いのです。実際に私の周りの人も飲んだら頭痛がするとか気分が悪くなると言う人が多くいます。

遺伝子組み換え企業やその影響を受けた所では、遺伝子組み換えは健康に害を与えず、安全だと宣伝してきました。しかし、その安全の根拠には疑問視される部分が多々あります。遺伝子組み換え農業が作り出す問題もたくさんあるのです。一緒に使用する農薬による土壌や地下水の汚染は自然環境を破壊しています。有機農業や、従来型農法とも共存できません。また遺伝子組み換え農業では大量の化学肥料や農薬の使用が必要です。化学肥料には天然ガスが、農薬には石油が必要となります。化石燃料を大量に大地に撒く農業は果たして持続可能でしょうか? 遺伝子組み換え作物が世界の飢餓を救うなどと言われていても、きちんと実情を知ると、それは難しいと分かるはずです。
 

SATOKO
SATOKO

『安心安全な食をスタンダードに』をモットーに、食育プロデューサーとしてイベントや講演会を多数企画。SOLAアカデミー主宰。「衣食住と心」を整えることで、心身ともに健康でより豊かな人生を楽しむことをコンセプトにした学びの場「COME TO LIFE」を開講。食と栄養と健康のセミナー講師。ナチュラルフードプロデュースも手掛ける。また未来の子供たちの健康と地球環境を守るための活動も行っている。


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