2007/1/1

Vol.1
坂井 宏行
Hiroyuki Sakai

フランス料理店 ラ・ロシェル 店主

ラングスティーヌのクルージェット包み

ラングスティーヌのクルージェット包み
ラングスティーヌのクルージェット包み

《材料》4人分
ラングスティーヌ 4本、クルージェット 2本
エシャロット 2ケ、にんにく1片、バジル 適量
オリーブオイル 適量、コンソメスープ 120cc
“すり身(帆立貝・ラングスティーヌ)” 40g
浅葱 100g、バター 小さじ1、くず粉 適量
セルフィーユ 4枚、あさり 1kg、水 2リットル
エシャロット 適量、にんにく 適量

《作り方》
1. ラングスティーヌは殻を除き、軽く洗い“サッ”と塩茹でする。
2. エシャロット、にんにくはみじん切りにする。
3. バットに(1)のラングスティーヌを入れ、上に(2)のエシャロット、にんにく、バジル、塩、胡椒をかける。オリーブオイルを入れ、マリネにする。
4. クルージェットはリボン状に薄くスライスした後“サッ”と塩茹でする。後に水分をよくふき取る。
クルージェットを網目状に交互にあみこみ、帆立貝、ラングスティーヌのすり身を薄く塗り(3)のラングスティーヌをのせ、クルージェットで包み、蒸し器で蒸す。
5. ソースコキアージュを作る。
I. エシャロット、にんにくはスライスする。
II. 鍋にあさり、水、エシャロット、にんにくを入れて火にかける。沸騰したら火を弱め煮出す。(約15分)
III. 漉器で漉し、バターモンテし、くず粉で濃度をととのえる。
6. (5)のソースをお皿に流し(4)のクルージェット包みをのせ、セルフィーユを飾る。

伝えたい一皿

ムッシュ坂井は、27年前に青山で独立。まもなく料理本を出版することになった。
その際、生み出されたのがこの一皿。料理の勉強を始めたばかりのころに学んだ懐石料理の技法を、フランス料理に活かしたものだ。
イタリアン、中華、エスニック、懐石、どの料理にも“包む”という技法がある。この料理は、フレンチでありながら日本人のDNAに感動を与える『素材が包まれた美しさ、美味しさを最大限表現した一皿』。今では『鉄人シェフ・坂井の代名詞』ともいえる。
「料理は目で楽しませ、さらに食べて美味しさを感じさせることが大切だ。食べる前から食べてみたいと思わせる料理であること。料理はファッションと同じで、ビジュアルが本当に重要なのです」
「料理は空腹を満たすためのエサではない。レストランは、常に食べることの楽しさ、美味しさを伝える空間でなければならない」
ムッシュ坂井は、若いころから懐石料理の調理場で学び、その後、海外でさまざまな料理技法や調理人と出会った。こうして技を吸収し続けてきたムッシュ坂井は、現在でも若手より貪欲に学び続けている。
ムッシュ坂井が次代に伝えたい一皿には「若いころからの全ての経験を自分の中で消化して、その技を自分の料理として生かすことが大切だ」という想いがしっかり包まれ、後進に伝えられている。

プロフィール

1942年 鹿児島県に生まれる。
17歳でフランス料理の世界に入り「ホテル新大阪」で修行を始める。
19歳の時、単身オーストラリアに渡り「ホテルオリエンタル」にて力をつける。
1年半の修行の後、帰国。
1963年 銀座「四季」にて、3年間修行。
フランス料理の先駆者的存在だった志度藤雄の指導を受ける。
その後、青山「ココ・パームス」、「西洋膳所 ジョン・カナヤ麻布」にてシェフを務める。
1980年 38歳にて独立。
南青山に「ラ・ロシェル」をオープン。
オーナーシェフとなる。
1994年2月 フジテレビ「料理の鉄人」に出演。
1999年2月14日 「ラ・ロシェル南青山」をオープン。
9月にフジテレビ「完全なる料理の鉄人」で最強鉄人になる。
2002年9月6日 「ラ・ロシェル福岡」をオープン。
2005年 フランス共和国より農事功労賞「シュヴァリエ」受勲。

フランス料理店 ラ・ロシェル 店内

レストラン
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バー
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次回は、ムッシュ坂井の思いを料理を通して次代へ引き継ぐ工藤シェフの一皿をご紹介します。

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