2009/11/27

Vol.11
斉藤 正敏
Masatoshi Saito

(株)ロイヤルパークホテル 調理部次長

Quartier de Chevreau à la Tartare
奄美大島産 仔山羊肉のターター


奄美大島産 仔山羊肉のターター
奄美大島産 仔山羊肉のターター

【材料】(4人前)

材料 分量
仔山羊肉 300g
シブレット 10g
コルニション 16g
ケッパー 12g
ニンニク 8g
レモンのジュ 20cc
バージンオリーブオイル 60cc
根セロリ 60g
トレヴィス 2枚
アンディブ 4枚
バゲット 8枚
赤ワインヴィネガーのヴィネグレット 40cc
塩・胡椒 適宜

【作り方】
1. 新鮮な仔山羊のモモ肉は筋をきれいに取り去り、細かく切る。
2. シブレットはシズレ、コルニション、ケッパー、ニンニクはアッシェしておく。
3. 1と2を合わせレモンのジュ、バージンオリーブオイル、塩・胡椒で味を調える。
4. 根セロリは1.5mm角のジュリエンヌに切り揃え、赤ワインヴィネガーのヴィネグレットで合せる。
5. ニンニクをフロッテしたバゲットは片面だけトーストしておく。
6. 1人前60gの3をセルクルに詰め、4をのせたトレヴィス、アンディブを盛り付ける。
7. バージンオリーブオイルを垂らす。

【シェフからのメッセージ】
 この“仔山羊のターター”はアレクサンドル・デュマの名作、「岩窟王」とも呼ばれている「モンテクリスト伯」の一場面に登場する料理で、モンテクリスト島にある洞窟の中の宮殿での贅を極めた晩餐に供された“ダッタン風の仔山羊肉”の再現です。
 仔山羊肉と言われても、80年代オランダ赴任中に旅行で訪れたフランスの山奥で、ポ・ト・フーとして供された、ほんの僅かな記憶しかなく・・・それでも探せばあるものですね。技術的にはまったく難しい料理ではありませんが、想像以上の出来栄えで、理事長御夫妻にも食事会のお客様にも喜んで頂き、キッチンのスタッフ一同ほっと胸を撫で下ろしたものです。

フランス文学作品に登場する料理を作る、貴重な経験

 
 フランス文学とフランス料理にとりわけ造詣の深い国際交流基金の小倉和夫理事長の発案で、『料理でめぐるフランス文学散歩へのいざない』と題した食事会を六本木国際文化会館に於いて2年間にわたり催してきました。毎回、プルースト、モーパッサン、アレクサンドル・デュマ、バルザック、スタンダール等、著名なフランス文学作品1作を取り上げ、物語の中で主人公がある食卓を囲んでいる場面、あるいは主人公が自分の好みの料理を前にしたときの文章の奥底に潜んでいる深層心理、また時代背景や郷土色、そして場面ごとの登場人物の人間関係、さらにはフランス文学には数多く登場する男女の恋愛に関する心理描写など・・・小倉理事長の講和と物語に出てくる料理を楽しんでいただくといった趣向の企画でした。
 時代背景を考慮し、エスコフィエのギ・ド・キュリネールの原書と日本語訳を隅々まで探ったのも貴重な経験となったでしょうか・・・。

料理人とは、夢のある職業だ


 『料理でめぐるフランス文学散歩へのいざない』の第1回に取り上げたマルセル・プルーストの長編「失われし時を求めて」。その冒頭に、「菩提樹のお茶に浸したマドレーヌを口に含むと・・・幼少期に過ごした街が自らのうちに蘇って・・・」という一説があります。人の記憶の中で、目で見たことや触れたこと以上に、味や香りの記憶というものは大きな割合を占めます。料理は食べ終わってしまえば、その空間から消え去ります。絵画や彫刻、建築のように三次元のこの世界に長らく存在するものではありませんし、音楽のようにCDで何度も同じ曲を聴けるわけではありません。されど、それを味わい、香りを満喫した人の心のどこかに記憶として存在し続けることが出来るんですね。
 そんな料理を創造できる料理人って、とても夢のある職業だと思いませんか・・・皆さん。

【プロフィール】
1959年 埼玉県生まれ
1979年 (株)ホテルオークラ入社
1983年 ホテルオークラ アムステルダム出向
1988年 (株)ローヤルパークホテル入社 フレンチレストラン パラッツオ
1992年 バンケット ホットキッチンシェフ
1996年 バンケットシェフ
2002年 ロイヤルパーク汐留タワー 調理部門兼任
2006年 六本木国際文化会館 調理部門兼任
2008年 北海道洞爺湖サミット 調理部門支援
2009年 赤坂迎賓館にて国賓・公賓の接遇 調理部門を担当
現在に至る

1993年、東京都優秀技能賞 青年の部 受賞
フランス料理アカデミー 日本支部会員
アミティエ・グルマンド 副理事長

フレンチレストラン パラッツオ
 フレンチレストラン パラッツオでは、野口忠夫シェフが繊細な手法で素材を最大限に生かしたフレンチで皆様をお待ちしています。
 毎月内容が変わる「シェフお薦めレディスランチコース」(5,775円) が好評です。
【レディスランチ】 12月メニュー
・鮮魚平目の軽いマリネ 自家製カボスのジュレをあしらえて
・小ヤリイカ、ラングスティーヌのマリアージュ 赤ワインの香るイカ墨ソース
・カサゴのブレゼに南仏野菜の軽い煮込み 胡麻の香りを乗せて
又は 国産牛のグリエ仕立てに冬野菜をあしらえて
・パラッツオ オリジナルデザートワゴンより
・コーヒー、ハーブティー、小菓子
※ご提供期間:12月1日(火)〜12月11日(金)、12月26日(土)〜12月30日(水)

パラッツオの個室
 古代ギリシャ、ローマをモチーフにした調度品のなかで、贅をつくしたフランス料理をお召し上がりいただけます。静かな時の流れる個室で、極上の時間をお過ごしください。
【時間】
11時30分〜14時30分 、17時30分〜22時00分
【料金】お一人様
ランチ ¥8,400(¥8,000)〜
ディナー ¥12,600(¥12,000)〜
個室料 ¥10,500(¥10,000)
( )は税抜価格です。
税込表示価格に対しサービス料10%を申し受けます。
【個室】
2室 4〜20名様
【お問合せ・ご予約】
パラッツオ
TEL03-3667-1111(内線3731)

ロイヤルパークホテル
東京都中央区日本橋蛎殻町2丁目1番1号
TEL03-3667-1111
http://www.rph.co.jp/index.html

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